635.ブルドッグとダックスフント

 

骨の前に ブルドック、
柱にくくりつけられて、おすわり。
ちっちゃなダックス 近づいた
額にちっちゃなシワよせて。
「聞いてよ ブルドッグ、ブルドッグさん!」
招かれぬ客はいいました。
「おねがい ブルドッグ、ブルドッグさん!
 その骨を 私に くださいな」。

ブルドッグは ダックスに うなりかけ、
「お前にやるものなんか ねえ!」
ブルドッグ ダックスを追いかけた、
ダックス ブルドッグから 遠くへ逃げた。 

柱のまわりを ぐるぐるぐる。
ブルドッグのうなり声ときたら、ライオンみたい。
柱のまわりで、鎖がカチンカチン音たてる
柱のまわりで かちんかちんと音たてる。

ブルドッグさん 骨は もう
どうしたって 手が届かないよ。
骨をくわえた ダックスフント
ブルドッグに こう言いました。
「約束の時間だわ

 もう85分前じゃない。
 遅くなっちゃった! さよなら!
 鎖に巻かれて すわってらっしゃい!」

 

(1939)